大判例

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東京高等裁判所 昭和25年(う)5101号 判決

本件控訴の趣意は、控訴趣意書記載のとおりである。よつて記録を精査するに、被告人に対する起訴状は、公訴事実として、被告人は渡辺菊治の経営する旅館の従業員としてその業務用に使用する目的を以て法定の除外事由がなく昭和二十五年五月五日頃から同月十六日頃迄の間七回に亘り肩書居宅において水楢英雄から精米合計二石四斗を代金合計二万六百八十円で買受けたとし、適用すべき法条として食糧管理法第九条、第三十一条、同法施行令第七条、同法施行規則第二十三条の二を掲げるに対し、原判決は、被告人は何等法定の除外事由なく肩書居宅において水楢英雄より昭和二十五年五月六日乃至同月十六日迄に六回に亘り精米合計二石二斗を代金合計一万八千九百七十円で買受けたと判示し、右各所為は食糧管理法第九条、第三十一条、同法施行令第六条に該当するとしている。即ち起訴状によれば、被告人は営業の目的を以て使用するため米麦の買受を禁止した規定に違反したとなすに対し、原判決は、被告人は米麦の生産者からその生産した米麦の買受を禁止した規定に違反したとなすのである。しかるに原審各公判調書の記載によれば、原審裁判官が審理の経過において訴因並びに罰条の変更を命じた形跡なく、又検察官から訴因並びに罰条の変更を請求した形跡も窺われぬのである。果してしからば原審は審判の請求を受けない事実について判決したものと謂うべく、かゝる措置は刑事訴訟法が起訴状記載の要件を明定し、訴因又は罰条の追加、撤回又は変更を規定した法意に違背したものであつて、原判決に影響を及ぼすこと明らかである。従つて論旨について逐一判断する迄もなく、原判決はこの点において破棄を免れない。

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